骨の厚みが1~3mmの左上奥歯に人工骨を使用せず抜歯即時インプラント埋入を行った症例

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骨の厚みが1~3mmの左上奥歯に人工骨を使用せず抜歯即時インプラント埋入を行った症例

今回はレントゲン画像のみです。左上奥歯(黄色い丸印)が重度の歯

周病で保存不可能です。患者様は抜歯後インプラントを希望されまし

た。上顎奥歯においては下顎と違い副鼻腔(歯科では上顎洞と呼びま

す)に炎症を生じる場合があります。特に重度の歯周病では歯の周

りの炎症がその上にある上顎洞に波及し歯性上顎洞炎を生じることが

りますので、保存不可能な場合にはなるべく早期に処置をすることを

なさってください。さて今回の症例では骨が薄いところで1ミリ程度

しかありません。ここにインプラントを埋入する場合にはソケットリ

フトやサイナスリフトを使い事前に上顎洞に骨を再生してから数か月

を待ってからインプラントを埋入する方法がとられてきました。この

方法は決して簡単な方法ではありません。非常に繊細な上顎洞粘膜を

扱いますので、上顎洞粘膜が破けて思った通りに骨が再生することが

できないことがあります。仮にそのような処置により骨が再生して、

そこにインプラントを埋入した場合と、今回当クリニックで行って

いるエクストラワイドタイプのショートインプラントを使った場合

では何らその予後に差異はありません。エクストラワイドタイプの

ショートインプラントを使うことで、抜歯と同時にインプラントを埋

入することができ、さらにその際人工骨はいっさい使用しませんので

上顎洞粘膜が破れて人工骨が漏れ、急性の上顎洞炎を生じることは

ありません。さてどちらを選択するかは患者様のご判断に任せますが

、現在ではこのように患者様にとってやさしいインプラント治療が

できるようになっています。

1、インプラント埋入前

 

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2、インプラント埋入後

 

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2本のインプラントが1~3ミリの骨に埋入しました。(オレンジの矢印)

人工骨はいっさい使用していません。上顎洞内に入ったインプラントの

周りには徐々に骨が再生してきます。これはどなたにも元々備わってい

る体の機能です。

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